オーブル街に眠る

私立恵比寿中学・インターネット・野球

1971年に大阪で起こったエレベーター殺人事件にまつわる都市伝説の真相

この記事にはショッキングな描写が含まれています。苦手な方は閲覧を控えるようお願い致します。

 今回はとある都市伝説の真相についてのお話です。漫画付きなのでぜひ元記事をお読みください。

韓国人「1971年に日本で起きた大阪エレベーター殺人が怖い!緊急停止ボタン設置のきっかけとなった事件」 : カイカイ反応通信

カイカイ反応通信補足:マンガの内容要約
・自宅マンションに帰宅した女子学生
・エレベーターに乗り自宅がある9階のボタンを押す
・すると会社帰りなのかスーツを着た見た目は善良そうな男性が乗り込んでくる
・男性は女子学生に「すぐ下の階に住んでいる者」と伝える
・女子学生は8階のボタンを押す
・8階につきエレベーターを降りた男性は、その場に立ち止まり手元から何かを取り出す
・エレベーターが閉じた後、エレベーターの扉についた窓から、男性が手元から取り出したものが包丁であることが分かる
・包丁を手に不気味な表情で女子学生を見つめた男性は、その後、階段に向かって走りだし9階へと駆け上がっていく
・9階についた女子学生はその男性に殺害される

 

この話は日本であった実話で、犯人が相手の恐怖心を最大限に引き出すために取った行動と言われている。当時、日本のエレベーターには緊急停止ボタンがなかったので、女子学生はそのまま殺害されることとなった。この事件をきっかけにエレベーターの緊急停止ボタンが設置された。韓国のエレベーター安全技術院の用語集にもこの事件に関連する内容が記載されており、緊急停止ボタンの項目には、エレベーター利用における犯罪防止の目的として、1971年に日本の大阪で起きたエレベーター殺人事件を契機に日本では建築基準法施行令129条9に安全装置のひとつとして追加されたと言及している。

 

カイカイ反応通信管理人
調べてみると韓国では割と有名な話のようです。それにしてもこんな事件、日本で本当に起きていたのですかね。もし本当なら、日本の犯罪史に残る凶悪事件として今も語り継がれているような気がするのですが。ネットで調べても該当するような事件は見当たらないので(私の調べ方が甘いのかもしれませんが)、おそらく作り話ではないかと考えます。かなり怖い話ではあるとは思いますが…
あと、この事件を契機に追加されたとされる建築基準法施行令の第129条9の項目にもそれに関連する記載は見当たりませんでした。

恐ろしい。ちなみに、現在ではエレベーターでボタンを押し間違えた場合、ボダンのダブルクリックや連打でキャンセルできます。

 

そして肝心の真相です。ここからが今回の記事のメイン。

元記事によれば、韓国では有名な話だそうですが、日本では全く知られていません。そもそも日本で起こった事件のはずなのに、韓国でのみ有名なのもおかしな話。

調査を始めて間もなく、オカ板(2ch)の過去ログに有用な情報を発見。

330 :本当にあった怖い名無し :2014/01/12(日) 19:49:54.81 ID:sB/3oIfn0
>>79 
http://blog.livedoor.jp/kaikaihanno/archives/21707960.html 

上のblogで引用されてる1971年の大阪エレベータ殺人だけど、 
1971年6月13日に大阪の公団森ノ宮団地で27才の在日韓国人デザイナーが、 
エレベータ内で何者かに首を絞められて殺害された未解決事件が元と思われます。 
エレベータで殺人が起きたのは日本で初めてとのことで、サザエさんのネタにもなったくらい当時は話題になったようです。 

ただし漫画に書かれているようなホラーじみた内容はすべて作り話で、 
被害者死亡の迷宮入り事件でこんな詳しくわかるはずが無いとか突っ込みどころも多いし、 
そもそも当時の森ノ宮団地のエレベータのドアに窓は無い。 
ちなみにこの事件を契機に密室になりがちなエレベータも外から中が見れるように、 
大阪の団地ではドアにガラス窓が付けられるようになったそうです。

,:*:・'☆,・:*: 未解決事件87,・:*:・゜☆,:* - どこかに過去ログ落ちてない?

真偽不明とはいえ詳細な情報を見つけました。まとめると、

  • 1971年6月13日に大阪の森ノ宮団地で起こった事件
  • 殺害されたのは在日韓国人デザイナー(27)
  • 実際には絞首による殺人で、漫画は作り話
  • エレベーター内での殺人はこの事件が日本初
  • サザエさんのネタにもなった
  • 当時の森ノ宮団地のエレベータのドアに窓はない
  • この事件を契機に大阪の団地ではエレベータのドアにガラス窓を設置

驚くほど詳細な情報ばかりです(地元の方?)。どうやらこれが真相のようですが、出典がないので私も調べてみました。

以下、当時の新聞から。

 十三日未明、大阪市内の高層団地のじんかい室で、若い女性ファッション・アドバイザーの死体が発見された。エレベーターのなかで襲われたあと、首をしめられたらしい。"エレベーター殺人"は全国で初めてのケースで、 大阪府警捜査一課は城東署に捜査本部をおいたが、現金五十一万円入りのハンドバッグなどは奪われておらず、変質者の疑いが濃い。

(引用:毎日新聞東京朝刊1971年6月14日19頁より)

同日の朝日新聞にも同様の報道がありました。

先ほどの>>330氏の書き込みは、確認できる限り上の4つは事実ですが、「サザエさんのネタになった」以下3つの情報は私には確認できそうにないです。なお、被害者の年齢は27歳ではなく28歳でした。

この話が韓国で尾ひれを付けて広まり、のちに都市伝説と化したのは、亡くなったのが韓国人だったために韓国でも大きく報じられたからでしょう。当時の在日韓国人の方が帰国後に広めたのかもしれません。

ちなみに、紙面には被害者の方が経営に携わっていた呉服店の名前もありました。調べたところ、10年程前にパチンコ店に土地を買収され無くなったようです。同名のスーツ店が現在もあるようですが、別のものかと思われます。

 

というわけで、真相は以上の通りです。真っ赤な嘘、作り話でした。「怖い話」としては非常によくできた話です。

(なお、「建築基準法施行令の第129条9」は機械室に関する項目でした。安全装置については第129条の10に記載されていますが、この事件との関連性は見られません。)

図書館や各新聞社のサービスから当時の新聞を見ることができます。実際の事件の詳細が気になる方は是非そちらをチェックしてみてください。

亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。